投稿者: kanalys_admin

  • 【数字で語れる力-5】数字で「成果」につなげる力

    【数字で語れる力-5】数字で「成果」につなげる力

    ── “結果を示す数字”を“再現できる知見”に変える技術


    🧩 本記事は、シリーズ「数字で語れる力」第5回です。

    前回は「数字で伝える力」をテーマに、相手を動かすための“伝え方”を紹介しました。

    今回はその次のステップ──

    伝えた先の行動や結果をどう「数字でつなげるか」。

    つまり、数字を「成果」に変える力について掘り下げていきます。


    数字は“報告”で終わらせない

    会議でKPIや実績を報告しても、「ふーん」で終わってしまうこと、ありませんか?

    数字を“結果の確認”だけに使うと、改善の芽が生まれません。

    大切なのは、数字を「次の改善の出発点」として扱うことです。

    研究開発の現場でも同じです。

    試作データや歩留まり率、不良率の変動を「確認」して終わらせるのではなく、

    「なぜそうなったのか」「どう再現できるか」を考えることで、数字が“知見”に変わるのです。


    成果を再現可能にする「PRAサイクル」

    製造業のR&D現場では、一般的な「PDCAサイクル」では回しきれない場面が多くあります。

    なぜなら、研究開発は“予定通り進まないことが前提”だからです。

    そこで有効なのが、成果を学びの循環で再現可能にする「PRAサイクル(Plan–Run–Assess)」です。

    ステップ意味研究開発での例
    P:Plan(設計)成果を数値で定義し、仮説を立てる「リードタイムを20%短縮」「材料ロスを半減」など、ゴールを定量化する。
    R:Run(試行)仮説を試し、実験・検証を行う実験条件・担当・コスト・結果を記録する。
    A:Assess(評価)実績を振り返り、学びを抽出する「なぜ上手くいった/いかなかったか」を整理し、次の試行へ繋げる。

    PRAは、“知見を増やすためのサイクル”です。

    失敗や想定外の結果も、「何を学んだか」を数字で残すことで、再現可能な知識になります。


    PDCAとの違いを整理する

    項目PDCAPRA
    主な目的業務を安定化させる成果を再現可能にする
    想定環境既知・安定(生産・品質管理)未知・変動(研究・試作・新技術)
    実行段階Do(実行):計画通りに行うRun(試行):仮説を検証しながら行う
    評価段階Act(是正):標準化・対策Assess(評価):知見の抽出・仮説修正
    評価基準逸脱を減らしたか学びを得られたか

    PDCAが「誤差を減らすためのループ」だとすれば、

    PRAは「知見を増やすためのループ」です。

    R&Dでは、成功も失敗も“学び”として数字に残すことが、次の成果を生む源泉になります。


    「成果を語る」ための3つの数字軸

    成果を説明するときに、“頑張りました”だけでは伝わりません。

    数字をもとに成果を語るときは、次の3つの軸を意識すると、相手に伝わりやすくなります。

    1️⃣ インパクト軸(何にどれだけ効いたか)

    → 「試作コスト−15%」「歩留まり+8%」「不良率−0.3pt」など、具体的に数字で示します。

    2️⃣ 再現性軸(他でも再現できるか)

    → 「条件変更でも同傾向」「他ラインでも再現確認済み」など、汎用性を示します。

    3️⃣ 波及軸(どこまで広げられるか)

    → 「他機種にも転用可」「標準手順として全社展開予定」など、波及の範囲を明確にします。

    成果を“出す”だけでなく、“語れる形で残す”。

    これが、研究開発職における信頼と再現力の源になります。


    数字で“チーム成果”を見える化する

    個人の改善も大切ですが、最終的に価値を生むのはチーム全体での成果の共有です。

    • チーム単位で「達成度・改善度・波及度」を数値化する
    • 定量データに加えて、NICA法に基づいた定性コメントを残す
    • 成果を「属人的」なものから「組織的な知見」に変える

    💡 例:「年間改善指標スコア表」

    メンバー改善件数コスト効果波及度コメント
    Aさん5△3.2百万円新治具設計により歩留まり+12%
    Bさん3△1.1百万円材料見直しで再現性+5%改善

    数字が共通言語になると、メンバー同士の認識が揃い、議論の質も高まります。


    成果を“次の改善”に繋げる数字の残し方

    成果は“終わり”ではなく、“次のスタート”です。

    数字を記録するだけでなく、「なぜ」「どうすれば」を一緒に残しましょう。

    NotionやExcelを使えば、

    「成果 → 課題 → 次アクション」を1行で繋げることができます。

    📊 改善ログ例

    対象:プロセスX改善効果:生産性+12%限界要因:部材Yの再現性不足次アクション:材料変更案を試作No.56で再評価

    数字を“報告資料”で終わらせず、

    次の改善を生む「設計図」に変えていくことがポイントです。


    数字で語れるチームが“成果文化”をつくる

    数字を共通言語にできるチームは、議論が建設的になります。

    成功も失敗も数字で共有すれば、「責任」ではなく「信頼」の文化が生まれます。

    「数字で語る」ことは、単なるスキルではなく、組織文化の礎です。

    定量的な議論ができる職場は、再現力とスピードが圧倒的に違います。


    まとめ:数字は成果を再現するための“知の記録”

    数字は“結果を示す”ためのものではなく、

    “成果を再現する”ための知識です。

    研究開発の現場で、数字を「報告→学習→改善」のサイクルで回すことで、

    個人の経験がチームの知見に変わり、組織全体の競争力が高まります。


    💡 次回予告(シリーズ完結編)

    これでシリーズ「数字で語れる力」は最終回です!

    次は全5回をまとめた「数字で語れる力マップ」を公開予定です。

    自分の“数字スキル”を棚卸しできるチェックリスト形式で、

    あなたの成長を“見える化”できる内容にしていきます。


    📘 シリーズ一覧

    1️⃣ 第1回:なぜ「数字で語れる力」が必要なのか

    2️⃣ 第2回:数字で課題を見える化する力

    3️⃣ 第3回:数字で意思決定する力

    4️⃣ 第4回:数字で伝える力

    5️⃣ 第5回:数字で成果につなげる力(本記事)

  • 【数字で語れる力-4】数字で「伝える」力

    【数字で語れる力-4】数字で「伝える」力

    ── “正しい数字”を“伝わる言葉”に変える技術


    🧩 本記事は、シリーズ「数字で語れる力」第4回です。

    前回は「数字で意思決定する力」をテーマに、数字を使って“納得できる判断”を下す方法を紹介しました。

    今回はその“決めた数字”をどう使うか──

    つまり、数字を「伝わる言葉」に変える力について掘り下げていきます。


    なぜ「数字で語る」だけでは伝わらないのか

    試作評価のデータをまとめ、根拠を丁寧に説明したのに、上司や他部署から「結局、やる価値あるの?」と返された経験はありませんか?

    多くの場合、それは「正しいことを言っているのに、伝わっていない」という状況です。

    開発者は「データの整合性」や「実験条件の正確さ」を重視します。

    一方、マネジメント層や営業は「コスト」「納期」「市場インパクト」で判断します。

    つまり、同じ数字でも“見る角度”が違うのです。

    数字を伝える目的は、技術的な正しさを主張することではなく、相手が次の行動を取りやすくすること。

    そこを意識できるかどうかで、提案の通り方は大きく変わります。


    伝わる数字の3条件(RCAフレーム)

    技術報告や企画提案を「伝わる形」に変えるには、3つの視点を意識しましょう。

    要素意味ポイント
    R:Relevance(関連性)相手にとって関係ある話か「自分ごと」として理解できるか
    C:Clarity(明瞭性)一目で分かるかグラフ・単位・比較軸を整理できているか
    A:Actionability(行動性)次の行動が分かるか「だから何をするのか?」が明示されているか

    たとえば、

    「試作2号機の電力効率が18%改善しました」ではなく、

    「試作2号機の電力効率が18%改善し、月間電力コストで約40万円削減見込みです」と言うだけで、伝わり方がまるで変わります。


    数字に“物語”を添える(NICA法)

    数字だけ並べても、相手の心には届きません。

    伝えるときに“物語”を添えると、数字は一気に力を持ちます。

    それを形にしたのが「NICA法」です。

    要素内容
    N:Narrative(状況)何が起きているか「顧客満足度が昨年より10%低下しています。」
    I:Insight(気づき)どんな示唆があるか「応答時間が平均2分遅くなっていました。」
    C:Cause(原因)なぜ起きたのか「問い合わせが特定時間帯に集中していました。」
    A:Action(対策)どう動くのか「ピーク時間の担当を増やし、処理時間を短縮します。」

    数字はNICAで語ると、“報告”ではなく“ストーリー”になります。

    聞き手は「どうすればいいのか」が自然と理解できるようになります。


    グラフで伝える5つのルール

    グラフや資料も、伝える力の一部です。

    「見せ方」ひとつで、同じ数字でも印象が大きく変わります。

    1️⃣ タイトルで結論を書く

    「新製品投入で売上+20%」など、”何を伝えたいか”を先に書く。

    2️⃣ 比較軸は一つに絞る

    “何を比べているのか”が一目で分かるようにする。

    3️⃣ 色に意味を持たせる

    強調したい棒や線だけ色を変え、他はグレーなど控えめに。

    4️⃣ 余白を恐れない

    情報を詰め込みすぎず、伝えたい数字を際立たせる。

    5️⃣ 注釈で“読みどころ”を伝える

    グラフ上に「この変化がポイント!」など一言添える。

    “見せる”資料ではなく、“伝わる”資料をつくる。

    それだけで、説明の理解度は驚くほど変わります。


    数字を“共有”して動かす仕組みをつくる

    数字は発表して終わりではなく、チームで共有して動かすためのものです。

    • 定例会で「数字+気づき+次の一手」を共有する
    • NotionやSlackに“週1ミニレポート”を投稿して更新する
    • KPIを「チーム全員で決める」場を設ける

    共有の“場”をつくることで、数字が“会話の共通言語”になります。

    結果、判断や行動のスピードも上がっていきます。


    実体験を“刺さる伝え方”に変える

    一番伝わるのは、あなた自身の経験です。

    失敗も成功も、数字で振り返ると説得力が増します。

    たとえば、

    • 「A案を選んだら成果は20%伸びたが、想定より2週間遅れた」
    • 「B案では早く終わったが、再作業コストが1.5倍だった」

    こうした“感情+数字”のセットで語ると、相手にリアルが伝わります。

    数字を“盾”ではなく、“信頼の証拠”として使うのです。


    まとめ:数字は、相手を動かすための言葉

    数字を扱う力は、次のステップで完成します。

    1️⃣ 見る(観察する)

    2️⃣ 分ける(分析する)

    3️⃣ 語る(説明する)

    4️⃣ 伝える(行動に変える)

    正しいだけでは伝わらない。

    伝わって、はじめて数字は「生きた言葉」になります。


    💡 次回予告

    次回は「数字で決める力(最終回)」。

    同じ数字でも、判断の枠組みが違えば結論も変わります。

    リスク・不確実性・機会損失を見極めながら、“正しく決める”ための思考法を紹介します。


    📘 「数字で語れる力」シリーズ一覧

    1️⃣ 第1回:なぜ「数字で語れる力」が必要なのか

    2️⃣ 第2回:数字で課題を見える化する力

    3️⃣ 第3回:数字で意思決定する力

    4️⃣ 第4回:数字で伝える力(本記事)

    5️⃣ 第5回:数字で成果につなげる力(準備中)

  • 【数字で語れる力-3】数字で「意思決定」する力

    【数字で語れる力-3】数字で「意思決定」する力

    ── 感情ではなく根拠で選ぶ、納得の判断軸を持とう


    🧩 本記事は、シリーズ「数字で語れる力」第3回です。

    第2回は「課題を見える化する力」をテーマに、感覚的な問題を数字で捉える方法を紹介しました。

    今回はその“見える化した数字”をどう使うか──

    つまり、数字をもとに「正しく決める」力について掘り下げていきます。


    感情で決めて後悔したことはない?

    仕事でも投資でも、副業でも、「なんとなく」で決めた選択が後から裏目に出た経験は誰にでもあると思います。

    その多くの原因は、「比較基準がなかったこと」。

    感覚に頼ると、“今の気分”や“周囲の空気”に流されてしまい、判断がぶれやすくなります。

    数字を使えば、感情を整理し、判断を構造化できる。

    つまり、「数字思考」とは、迷いを減らし、自分で納得できる選択をするためのツールなんです。

    「数字で決める」とは、“冷たい選択”ではなく、“納得できる選択”。

    数字で意思決定するとはどういうことか

    数字を「判断の物差し」に変える

    感覚だけで決めると、後から“本当に正しかったのか?”と迷いが残ります。

    数字を使えば、選択の根拠を「比較」できます。

    • 新プロジェクトA vs B → 作業工数に対する期待収益で比較
    • 休日の時間配分 → 成果/満足度の比率で比較

    数字という物差しを持つことで、判断がぶれにくくなり、再現性が生まれます。

    感情と数字のバランスを取る

    “数字だけ”でも、“感情だけ”でも不十分。

    感情は方向を示し、数字はその道を測るメジャー。

    「やりたい」と「やるべき」を両立させるための補助線として、数字はとても有効です。

    本業での意思決定(定量比較の視点)

    研究開発の現場では、限られたリソースをどのテーマに割くか、常に判断を迫られます。

    私は、プロジェクトを選定する際に、

    作業工数に対する期待収益(=ROI的な指標)・開発リードタイム・リスク係数

    をスコア化して並べるようにしています。

    たとえば、

    • 工数は多いが成果の波及効果が大きいテーマ
    • 収益性は低いが、既存技術の延長で確実に進められるテーマ

    ──こうした比較を行うことで、“やるべき順番”が明確になります。

    数字化してみると、「上司の好み」や「雰囲気」で選ばれがちな案件も、

    根拠をもって議論できる土台が生まれる。

    「数字で語る」とは、“納得してもらうための準備”でもある。

    副業での意思決定(期待値思考の応用)

    副業を始めると、「次に何に時間を投資すべきか」を選ぶ局面が多くなります。

    私は、新しい試みを始める前に、必ず**期待値(E=成果×確率)**でざっくり見積もるようにしています。

    たとえば:

    • 収益記事を書く → PV×クリック率×報酬単価
    • テンプレ販売 → ダウンロード率×販売価格×想定顧客数

    「時間1時間あたりの見込みリターン」を出すと、

    感覚的に「これやりたい!」だけで動くよりも、冷静に優先順位がつけられます。

    数字で見れば、

    “情熱で突っ走るか”“積み上げを優先するか”の判断も、客観的に整理できるようになります。

    意思決定に使える3つの数字フレーム

    1️⃣ インパクト × 実行容易性マトリクス

    → 「重要だけど難しいこと」は後回しにして、

    “すぐできて効果が大きいこと”から着手する。

    2️⃣ 期待値(E=成果×確率)思考

    → 完璧な精度はいらない。

    大まかでも、「どちらの見込みが高いか」を判断する基準を持つ。

    3️⃣ リスク・リターン比

    → リターンに対してリスクが大きすぎないかを確認。

    → 定性的な“怖さ”を、定量的にバランス判断する。

    “数字の完璧さ”より、“数字を使う習慣”のほうが価値がある。

    数字で選ぶからこそ、後悔が減る

    感情で決めたことは、後で他人のせいにしやすい。

    数字で決めたことは、自分で納得できる。

    判断のプロセスを数字で残しておけば、失敗しても学びになります。

    数字で語る意思決定は、**「迷わない仕組み」**をつくることでもあります。

    今日からできる「数字で決める」練習法

    1️⃣ 選択肢を3つに絞り、1分で数字をつける

    → 完璧じゃなくていい。「直感的スコア」をつけてみよう。

    2️⃣ 決めた後に“根拠メモ”を残す

    → 「Aを選んだ理由:見込みリターン1.5倍」など、

    後で見返せるように記録しておく。

    3️⃣ 振り返りを数字で行う

    → 「この判断で成果は○%、満足度は△点」

    → 感情を“数字の裏づけ”で整理する習慣を持つ。

    まとめ:数字で決める人は、自分を信じられる人

    数字は“正解を教えてくれるもの”ではなく、

    “自分で納得できる選択”をするための支え。

    感情を押し殺すのではなく、

    数字を通じて感情を整理し、未来をデザインする。

    「数字で決める」とは、迷わない自分を育てるプロセスなのだ。


    💡 次回予告

    次回は「数字で伝える力」。

    伝え方ひとつで、同じ数字が“刺さる言葉”にも、“無関心な数字”にも変わる。

    数字を“伝わる形”に変える技術を紹介します。


    📘 「数字で語れる力」シリーズ一覧

    1️⃣ 第1回:なぜ「数字で語れる力」が必要なのか

    2️⃣ 第2回:数字で課題を見える化する力

    3️⃣ 第3回:数字で意思決定する力(本記事)

    4️⃣ 第4回:数字で伝える力

    5️⃣ 第5回:数字で成果につなげる力(準備中)


  • 【数字で語れる力-2】数字で「課題を見える化」する力

    【数字で語れる力-2】数字で「課題を見える化」する力

    ── “もやもや”を数値に変えると、解決策が見えてくる


    🧩 本記事は、シリーズ「数字で語れる力」第2回です。

    第1回では、「なぜ数字で語る力が必要なのか」をテーマに、

    “感覚では伝わらない現実”と向き合いながら、数字で語る重要性を整理しました。

    今回はその続編として、「課題を数字で見える化する力」についてお話しします。


    課題が“もやもや”して見えない理由

    仕事でも副業でも、

    「なんとなく忙しい」「成果が出ていない気がする」と感じることは誰にでもあると思います。

    けれど、そうした“もやもや”は、感覚のままでは正体がつかめません。

    数値に置き換えることで初めて、何が問題で、どこに時間や労力が流れているのかが見えてきます。

    私はこの「見える化」という考え方を、研究開発の現場でも、副業を始める際にも、強く実感しました。

    数字で見える化する意味

    数字にすると「現状」がわかる

    人は、感覚に頼ると“印象”に引っ張られがちです。

    忙しいように感じても、実際に時間を記録してみると「思ったより集中できていた」なんてことも多い。

    数字にすることで、現状を客観的に把握できるようになります。

    数字にすると「優先順位」が決まる

    数字で可視化すれば、「どこに力を入れるべきか」が明確になります。

    すべてを同時にやろうとするより、インパクトの大きい部分から手を付ける判断ができるようになる。

    数字にすると「変化」が追える

    改善前後を比べて、施策がどれほど効果を持ったかが検証できます。

    成長や改善を“見える形”で感じられることで、モチベーション維持にも繋がります。

    実践編①:本業での「見える化」事例

    研究開発業務のなかで、私はある時期から、

    工程ごとの作業時間を細かく記録するようにしました。

    最初は単なる習慣づけのつもりでしたが、記録を続けるうちに、

    「どの工程でボトルネックが生じているのか」がはっきり見えるようになったのです。

    “なんとなく時間がかかる”から、

    “実際に工程Cで平均30%多く時間がかかっている” へ。

    この小さな違いが、チーム全体のスケジュール調整にも大きな効果をもたらしました。

    また、複数プロジェクトを並行して進めるときには、

    業務負荷や納期の重要度をスコア化して可視化しました。

    プロジェクトごとに「負荷指数」を算出し、

    その合計値を見ながらタスクを再配分することで、驚くほど業務が整理されました。

    余談ですが、こうして自分で数字を使って業務を管理してみると、

    会社がKPIや定量評価にこだわる理由がよく分かります。

    (もちろん、その評価手法の妥当性は別の話ですが…笑)

    実践編②:副業での「見える化」事例

    副業を始めようと決める前、私は長いあいだ「このままの収入で将来大丈夫なのか?」という不安を抱えていました。

    けれど、それはただの“感覚的不安”でしかありませんでした。

    そこで、手取り収入、支出、昇給見込み、生涯収入をExcelでシミュレーションしてみました。

    数字にした瞬間、それまで曖昧だった将来像が、はっきりと輪郭を持って見えてきたのです。

    「このままだと○歳時点で可処分所得はここまでしか伸びない」

    「副業で月5万円を継続できれば、10年後には+600万円の余裕ができる」

    数字で見える化したことで、「やるべき理由」が明確になり、

    行動へと移すエネルギーが湧きました。

    感情を整理するためにも、数字は欠かせないツールだと実感しました。

    「数字で見える化」は目的ではなく出発点

    見える化の目的は、“分析すること”ではなく、“動きを変えること”です。

    数字は問題の「現状」を映す鏡であり、「次の一歩」を決めるための道具。

    数字を取るだけで満足してしまっては意味がありません。

    「どこに課題があるのか」「どの数字を変えるべきなのか」まで踏み込むことで、はじめて見える化は価値を持ちます。

    今日からできる「見える化」習慣3つ

    1️⃣ 行動ログをつける(1日5分)

    → 時間・集中度・満足度を簡単にメモするだけでもOK。

    2️⃣ 感覚を数値に変換する練習をする

    → 「まぁまぁ忙しい」→「忙しさ8/10」といった具合に。

    → もちろんこれは“主観的な数値”だけれど、同じ基準で継続して記録すれば「変化の方向性」が見える。

    → つまり、客観的な絶対値よりも、“昨日より集中できたか”“先週より楽になったか”を比較することが重要。

    完璧なデータではなくても、**「主観の定点観測」**は立派な分析。

    感覚を数字で“固定化”することで、初めて改善の手がかりが生まれる。

    3️⃣ 週1で自分の数字を振り返る

    → 「増えた/減った」を見るだけで、次の行動が変わる。

    まとめ:数字で見える化できる人は、改善のチャンスを逃さない

    数字にすることは、現実と向き合うこと。

    最初は怖く感じても、数字を通じて初めて“改善の入り口”に立てます。

    本業では、工程ごとのボトルネックを発見し、

    副業では、将来の収入見通しを定量化することで、

    “見えなかった問題”が、“行動できる課題”へと変わりました。

    「見える化する力」は、キャリアにも副業にも共通する成長の第一歩。

    そして次の記事では、その“見えた数字”をどう意思決定に活かすかを掘り下げていきます。


    💡 次回予告

    次回は「数字で意思決定する力」。

    感情ではなく根拠で選ぶ、数字思考のフレームを紹介します。


    📘 「数字で語れる力」シリーズ一覧

    1️⃣ 第1回:なぜ「数字で語れる力」が必要なのか

    2️⃣ 第2回:数字で課題を見える化する力(本記事)

    3️⃣ 第3回:数字で意思決定する力

    4️⃣ 第4回:数字で伝える力

    5️⃣ 第5回:数字で成果につなげる力(準備中)

  • 【数字で語れる力-1】なぜ「数字で語れる力」が必要なのか

    【数字で語れる力-1】なぜ「数字で語れる力」が必要なのか

    ── 管理職試験で痛感した、“感覚では伝わらない”現実


    🧩 本記事は、シリーズ「数字で語れる力」第1回です。

    管理職試験で感じた“数字で語れない悔しさ”を起点に、

    キャリアにも副業にも通じる「数字思考の価値」を考えていきます。


    管理職試験で突きつけられた「数字で語れ」という壁

    理系として研究開発の現場に立ってきた私は、

    「数字で説明するのは当たり前」だと思っていました。

    データを分析し、根拠を示し、再現性を持って結果を語る。

    それが仕事の基本であり、研究者としての矜持でもあったのです。

    しかし――管理職試験の準備を進める中で、私は思い知らされました。

    自分では“数字で語れているつもり”でも、実際は想いに任せて話していた部分が多かったことに。

    「このテーマには価値がある」

    「現場を支えるために必要な開発だ」

    確かに、情熱や信念は嘘ではありません。

    けれど、評価の場ではそれだけでは足りなかった。

    上司や面接官が求めていたのは、“熱意”ではなく“根拠”――

    つまり、数字で語れる力だったのです。

    その瞬間、私ははじめて「研究職として扱ってきた数字」と「人を動かすための数字」は、まったく別物だと気づきました。

    数字で語れる人が信頼される理由

    1. 数字は、感情よりも説得力を持つ

    「頑張っています」よりも、「効率を30%改善しました」と言える人が信頼されます。

    数字は、感情を超えて“相手が判断できる材料”を与えてくれます。

    私自身、営業担当とともに顧客へ製品提案を行った際、

    導入による効果を定量的に試算し、燃料コストや稼働効率の改善幅を具体的に提示したことがありました。

    その数字が、顧客にとって導入を決断する上での強い後押しになったのです。

    このとき、数字は単なるデータではなく、信頼を形にする言葉だと実感しました。

    2. 数字は、再現性の証拠になる

    研究開発の現場では、「データがなければ再現できない」。

    これは副業やキャリア形成でも同じです。

    「なぜうまくいったのか」を説明するには、プロセスを数値化して初めて他者が理解できる。

    数字は、“運が良かった結果”を“再現できる仕組み”に変えてくれます。

    3. 数字は、自分を説得するための武器でもある

    周りを納得させるだけが数字の役割ではありません。

    私が今回、副業を本格的に始める決意を固められたのも、

    事前に試算シートを作り、収益モデルや投資回収期間を数字で検証したからでした。

    リスクも見え、リターンも見える。

    だからこそ「やってみよう」と自信を持てた。

    数字は、感情を支える静かな確信の源でもあると感じています。

    会社も副業も「数字」で動いている

    昇進評価の裏にある“定量的な視点”

    管理職試験で見られていたのは、単なる人柄や意欲ではなく、

    「目標をどう設定し、どう評価するか」という定量的な思考でした。

    これは、管理職として“他人の成果を数字で見る”という訓練でもあります。

    つまり、評価する側に立つためには、自分自身も数字で語れなければならない。

    そう痛感しました。

    副業でも数字思考は生きる

    これから始める副業もまた、ひとつの“個人経営”です。

    PV、作業時間、収益見込み──こうした数字を追うことが、成長の指針になります。

    現時点では、まだアクセス数も少なく、数字は小さな一歩に過ぎません。

    けれど、その数字を記録し、変化を追うことが、今後の改善や成長を導く鍵になるはずです。

    数字は、これから自分の努力が積み上がっていく証拠。

    ゼロから始める今だからこそ、その力を味方につけたいと思っています。

    「数字で語る」とは“冷たい”ことではない

    数字というと、無機質で冷たい印象を持つ人も多いでしょう。

    でも、数字とは本来、“努力を可視化する”ための言葉です。

    「頑張っているのに伝わらない」

    ──そんな経験、誰にでもあると思います。

    数字は、その“伝わらない努力”を“評価される努力”に変えてくれる。

    そして、その裏にある想いをきちんと届けるための“翻訳装置”でもあります。

    情熱と数字、どちらか一方ではなく、両方を使いこなす人こそ強い。

    私は今でも、数字の裏には必ず「想い」を添えるように意識しています。

    今日からできる「数字で語る」練習法

    ① 行動を数値化してみる

    一日の作業時間、集中度、成果を数値でメモしてみる。

    「何となく充実していた」ではなく、「今日は3時間集中できた」と記録するだけで意識が変わります。

    ② 判断を数字で表す癖をつける

    何かを選ぶとき、「Aのほうが多分良い」ではなく、

    「Aのほうがコストを20%抑えられる」と言えるようにしてみる。

    ③ 改善を数字で追う

    副業ではPV・収益・作業時間など、同じ指標を定期的に追う。

    数字が“変化の証拠”になる瞬間、努力が成果に変わる実感が得られます。

    まとめ:数字で語れる人は、信頼とチャンスを引き寄せる

    数字は、努力を裏付ける言葉であり、未来を描くための道具です。

    管理職試験で学んだ「数字で語る力」は、

    いま、副業という新しい挑戦を進める上でも確かな支えになっています。

    数字は冷たくない。

    むしろ、情熱を正しく伝えるための最も人間的なツールだと思うのです。


    💡 次回予告

    次の記事では、「数字を使って課題を見える化する方法」を紹介します。

    感覚を数値に変えることで、行動がどれだけ変わるのか──その具体例をお伝えします。


    📘 「数字で語れる力」シリーズ一覧

    1️⃣ 第1回:なぜ「数字で語れる力」が必要なのか(本記事)

    2️⃣ 第2回:数字で課題を見える化する力

    3️⃣ 第3回:数字で意思決定する力

    4️⃣ 第4回:数字で伝える力

    5️⃣ 第5回:数字で成果につなげる力(準備中)

  • 管理職試験に落ちた私が見つけた、「知的生産」で副業を始める理由

    管理職試験に落ちた私が見つけた、「知的生産」で副業を始める理由

    管理職試験に落ちたあの日、私は決めました。

    「昇進だけに人生を委ねるのは、もうやめよう。」

    研究開発職としてキャリアを積み、会社から課される管理職試験に挑戦。

    必死に準備をして、数字を整理し、経営的な視点を学び…。

    けれど結果は、不合格。

    正直、その瞬間はショックでした。努力が認められなかった悔しさ。これから先のキャリアが閉ざされたような虚無感。

    同時に心の中で、こんな思いも湧き上がりました。

    「会社にすべてを委ねていていいのか?」

    昇進と収入のリアル

    厚生労働省「賃金構造基本統計調査(令和5年)」によると、大企業の研究開発職における課長級の平均年収はおよそ670〜730万円。

    また転職サイトdodaの調査でも課長クラスは700〜900万円、部長クラスで900〜1100万円が相場※1。

    実際に私の周りでも、課長昇進で手取りが増えるのは年間+50〜80万円程度。

    ただ、裁量労働制で残業代がなくなるため、「思ったより増えない」という声も少なくありません。

    さらに、年次評価による収入変動の大きさも現実です。

    評価基準は必ずしも明確ではなく、実際の業務パフォーマンスよりも「上司との関係性」や「社内での立ち位置」に左右されることも多い。

    つまり、努力や成果がそのまま給与に反映されるとは限らないのです。

    そんな不確実な仕組みにキャリアを委ねてしまっていいのか──そう自問しました。

    一方、副業で月5万円を安定して得られれば、年間+60万円。

    月10万円なら年間+120万円。

    20年続ければ、部長クラスに昇進するのと同じ、あるいはそれ以上のインパクトになります。

    昇進は「選ばれるかどうか」という確率ゲーム。

    けれど、副業は「やるかやらないか」自分次第。

    私はこの瞬間に決めました。

    「副業で本業収入を超えて、会社を見返す」。

    ※1 厚生労働省「賃金構造基本統計調査(令和5年)」、doda「平均年収ランキング/管理職年収データ」

    挫折から学んだ「知的生産」

    管理職試験を通じて私が気づいたのは、昇進準備で身につけたスキルこそが、副業に直結する武器だということです。

    • 数字で語る力:感覚ではなくデータで議論する姿勢
    • フレームワーク思考:MBA的な整理の方法
    • AI活用による発想力強化:ChatGPTで短期間に多角的なアイデアを得る

    これらを「昇進のため」だけに使うのは、あまりにももったいない。

    むしろ、副業や資産形成に応用した方が、はるかに大きなリターンを生むのでは?

    そう考えるようになったのです。

    会社に囚われない働き方へ

    さらに痛感したのは、限られた時間で副業を進めるためには、まず働き方そのものを効率化する必要があるということ。

    会社で発生する「面倒ごと」や「仕組み化されていない仕事」を効率化し、自分の時間を取り戻す。

    その時間を副業や学びに充てることで、会社に縛られないキャリアを築けるのです。

    これから発信していくこと

    このブログ 『「数字×思考」で拓く、「キャリア×副業」の戦略 』では、私自身の実体験をもとに、知的生産の力をどう活用していけるかを記録していきます。

    • ChatGPTを使ったMBA的な学びの整理
    • ExcelやPythonを使ったシミュレーションやテンプレ販売
    • 不動産投資やNISAなど、資産形成のリアルな試行錯誤

    同じように「昇進に限界を感じている人」「副収入を得たい人」「キャリアを自分でデザインしたい人」にとって、ヒントや行動のきっかけになれば嬉しいです。


    💡 次回予告

    次の記事では、管理職試験の体験から見えた「数字で語れる力の大切さ」について具体的に紹介します。

  • 実験開始のお知らせ

    ここから、新しい実験を始めます。

    テーマは「キャリアと副業をどう両立できるか?」

    条件設定

    数字と思考

    使用機材

    ChatGPT、Excel、そして少しの情熱

    観察対象

    私自身と、このブログを読んでくれるあなた

    ドメインは kanalys.com。

    この実験は、長期的に必ず成果を出すと信じています。

    ※この投稿は、サイト立ち上げ時のテスト記事です。初期ログとして残しています。